賠償で成金が生まれる理由(1)

東電からの賠償金で、パチンコ三昧の生活を送ったり、レクサスをキャッシュで購入したりと、仕事もせず悠々自適な生活を送る避難者がいると聞いたことはあるでしょうか。

この記事では、賠償金暮らしをする成金の批判をするものではありませんが、なぜそんなにたくさんの賠償金額を受け取ることができるのか。そのメカニズムを考えてみます。

さて、みなさんの中に交通事故を起こしたことがある方はいますでしょうか。その際に補填すべき費用としては、至極当然ですが「修理費用」を払うことになります。しかも、事故の原因が相手のムチャな運転によるものであるにもかかわらず、割合による事故の清算がされることが多くあります。自分は被害者なのに納得いかないこともあるでしょう。

では、原子力損害賠償ではどうでしょうか。原子力損害賠償法(原賠法)では、一般的な不法行為民法709条)と決定的に異なる考え方として、「無過失責任・責任集中」という考えが採られています。これは簡単に言うと、原子力発電事業者(東電)に過失が全くなかったとして、その責任すべてを東電に負わせるというものです。

なぜ、このような東電不利な法律が定められているかと言うと、多くの被害者を生み故郷を喪失させるとても大きな原子力損害について、事業者の過失を要件に課してしまうと、賠償金を受け取られずに路頭に迷う方が大量に生まれてしまうことになるからです。先ほどの交通事故の例で考えてみると、東電が事故を起こした場合、相手側に割合負担を課すこともできなければ※1、賠償額も「修理費用」だけに留まりません※2

 

つまり、東電は完全にノーガードで賠償金を毟り取られる構図であり、さらには挙句の果てに1度払って将来的に解決することもできず、損害が継続する限り払い続けるのです。

※1東電が事故を起こしたのは間違いないが、被害者にも損害を可能な限り回避することが求められるとの解釈もあるが、実態として機能していない。

※2「修理費用」を払えば十分であるハズが、国が定める「中間指針」に従った賠償をしなければならない。