住居確保にかかる費用の賠償について考える

東電が、国によって定められた「中間指針」に則って賠償していることはこれまでお伝えした通りですが、ここでは中間指針の第四次追補で示された生活再建のための賠償である「住居確保賠償」について、どういった賠償であるか説明していきます。

この賠償を簡単にお伝えすると、新しく家を購入するための費用を賠償するものとなっています。

一見、避難して元の家に戻れないのだから当然賠償すべき損害だ!と思ってしまいそうですが、実はこれ、法律の世界では極めて異質な賠償と考えられています。

例えばもし私が他人のものを壊した場合、新しく買いなおす費用を賠償する訳では無く、そのものの修理代を補填することが一般的とされており、これを原状回復費用と呼びますが、住居確保賠償ではその原則を飛び越えています。

では、なぜ修理代を補填することが一般的とされているかと言うと、不法行為により壊した資産には不法行為時の時価があります。同じ家でも購入から1年経ったものと比較して10年経ったものの方が経年減価していますから、補填すべきはその時価額となります。

他方で住居確保賠償では、新築を建てる費用を賠償するため、これまでの家よりグレードアップした住宅も買えてしまう、謂わば錬金術賠償と呼べるでしょうか。