中間指針見直し困難

原子力損害賠償紛争審査会の内田貴会長は30日、原発事故による避難者らが国や東電に損害賠償を求めた集団訴訟最高裁判決が確定するまで、賠償の基準となる中間指針の見直しは困難との見解を明らかにした。

これまでの全国の集団訴訟判決では、地裁・高裁で判断が割れており、内田会長は「司法判断がどのような形に統一されていくか、注意深く見守っているのが現状。(中間指針見直しは)最高裁などで判決が確定するのを待つ必要があるのではないか」と述べた。

まずもっての今後の賠償方針として、処理水放出による風評被害に対する賠償指針策定が東電に要求されているが、関係者・関係団体からは「事故後10年を経過して、損害立証が困難となり、東電が賠償をしないのではないか。」と懸念の声が上がっている。そのため、より実態に見合った賠償を東電に義務付ける旨を中間指針に記載するべきとの声もある中、今回の内田会長の発言は波紋を呼びそうだ。

 

さて、これまで賠償金として投入された金額は既に9兆円を超えており、今後も増加することになるが、ある種被災者の救済を盾に、国や東電に賠償金を迫る集団訴訟は過熱すると思われる。賠償金の拠出の関係上、その負担は税金や電気料金に現れ、一般国民の我々の懐にも影響を与える。

既に事故から10年以上を経過したが、東電が消滅事故を援用する気もなく、また現在も帰還困難区域が残っており帰還が進まない以上、今後また10年20年の賠償金を払い続けることになるであろう。

そんな状況で、中間指針をベースに裁判やADRでは、それを超える判決や和解が一般的となりつつある。さらなる賠償金支出を絞るため、中間指針の防衛に言及したものと思われる。

今回の内田会長の発言を、好意的に受け取るか、批判的に受け取るかは、あなたはどちらでしょうか?